1895年から1945年までの約50年間、日本統治時代のあった台湾。
台北の総統府や司法院など、当時建てられた建造物が今でも多く残されています。
台湾の中枢を担う基幹的建築物だけではなく、当時台湾で生活する日本人の住居などとして建てられた木造の日本家屋が台湾各地に残されていて、台湾では“日式宿舎”と呼ばれています。
ここ中壢にもいくつかの日式宿舎があり、台鉄中壢駅周辺には3か所の主要日式宿舎が一般開放されています。
この三大日式宿舎を「中壢城市故事館群」=“中壢シティヒストリー館群”と呼び、それぞれ施設見学やカフェなどの店舗として活用されています。
今回はそのうちの1箇所、「壢景町」をご紹介します。
「壢景町」は、1941年に隣接する中壢群役所(現在の中壢警察分局)の宿舎として建てられた中壢警察局日式宿舎群。A棟・B棟・C棟の3棟構成で、それぞれ職位の順に割り当てられて入居していたそうです。
その後、日本統治時代が終わり、大陸から渡ってきた国民党政府により管理され、付近の学校の教職員宿舎として使われたり、戦後外省人の警察や警察退職者などの住居として使われるなど、動員戡乱時代をも経て今に至り、まさに歴史とともに激動を歩んできた建物と言えます。
2012年に桃園市政府文化局により歴史建築に登録され、2016年から修復計画が始まり2019年に修復工事が完了、市民公募により「壢景町」と名付けられました。
現在、最も保存状態の良いA棟「町之美」は、水曜日~日曜日の10:00~17:00に建物内部が見学できるよう開放されているほか、ワークショップなどのイベント貸出に利用されています。
また、B棟「食在地、食當季」は11:00~20:30定休なしでカフェ営業をしていてブランチ・アフタヌーンティー・各種飲み物が注文でき、C棟「買在地、買有機」は地産地消に取り組み、地元桃園で製造された有機食品や天然素材の石鹸、パンなどのベーカリーや台湾スイーツの豆花なども販売しています。どの建物もとてもきれいで常にお客さんが頻繁に出入りしています。
いずれも木造平屋の日本家屋で、中へ入ると台湾にいながらどこか懐かしさを感じます。中壢へ訪れたら、是非足を運んでみて下さい。
壢景町 日式警察宿舎園区