【桃園観光】台日32同名駅「富岡」の魅力|富岡老街|台湾唯一!特急列車の中にある廟

桃園の南西部、お隣り新竹県に入る県境近くに「富岡(フーガン)」という名前の駅があります。

台湾鉄道には日本と同じ名前の駅が全部で32ヶ所あり、「台日32同名駅」と呼ばれ観光プロモーションになっているのですが、そのうちの1つが「富岡(フーガン)」です。

富岡(フーガン)」には近くに車両基地があり、2020年より毎年「鐡道フェスティバル」が開催されているほか、駅を出てすぐ目の前にはバロック様式の美しい洋館がシンボルの富岡老街があります。

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駅前からレンタサイクル「YouBike」に乗れば、わずか5分程で溜め池が点在する田園風景の中に溶け込む大きなシラサギのオブジェに出会えたり、台湾全土でここにしかない特急列車の車両の中にある廟「自強号車廂土地公廟」へ散策にも行けます。

巨大シラサギオブジェと日の入りが美しい「三連陂」。
特急列車の中にある廟「自強号車廂土地公廟」。

台湾の歴史や文化が色濃く残る古い街並み、そして豊かな自然が広がるこのエリアは、まさに鉄道ファンにうれしい穴場スポットです。ノスタルジックな雰囲気を味わいに、のんびりと台湾鉄道で「富岡(フーガン)」を訪れてみませんか?

台日32同名駅「富岡」アクセス方法

鐡道フェスティバルで賑わう富岡駅前。

台湾鉄道富岡駅は、各駅停車の「區間車のみ停車するこじんまりとした駅です。

1929年(昭和4年)に縦貫線の複線化工事完了とともに「伯公岡駅」として開業し、1955年に「富岡駅」と改称しました。

中壢駅からは3駅南下し、時間は最短15分。特急列車の追い越し待ちで時間調整がある場合は最大25分かかることもあります。

台北駅からは、全ての区間を各駅停車の「區間車」に乗ると最大1時間20分かかりますが、中壢駅まで特急列車の「自強號」に乗れば、乗車時間はトータル55分くらいです。但し、乗り換えの接続待ち時間が発生するので、結局1時間余りかかります。

台日32同名駅「富岡」見どころ

富岡老街|駅とともに歩んだ歴史と、今も残るレトロな風景

台鉄・富岡駅に隣接する「富岡老街」。その誕生は、駅の建設と切っても切れない関係があります。

かつてこの地は「伯公岡」と呼ばれ、周辺に多く住む客家の人々にとって大切な守護神・伯公(福徳正神)を祀る廟があったことからその名が付いたと言われています。

周辺はのどかな農村地帯でしたが、1908年に当時の伯公岡駅(現在の富岡駅)が設置されると、人や物が自然と集まりはじめ、活気ある市街地へと発展していきました。

富岡老街でご飯時に賑わう食堂「伯公小吃」。
多くのお客さんが牛肉麺などの麺類を頬張る。

特に駅前の中正路一帯は屋台が並び、市が立つほど繁栄。地の利を得たこのエリアは、富岡で最も早く発展した場所となりました。

しかし、その後鉄道ルートの変更によって人の流れが変わり、往時の賑わいは徐々に姿を消していきます。今では、老街に残る洋館建築が、かつての栄華を静かに物語っています。

富岡老街のシンボル「呂家聲洋館」。

老街を代表する建物が、中正路に佇む「呂家聲洋館」。

五軒分の間口を持つ堂々たる二階建てで、中央のドーム、ギリシャ風ペディメント、左右対称のローマ式柱、精緻なレリーフが施されたバロック様式の外観は圧巻です。

裕福だった持ち主の暮らしを想像させるその建物は、1929年に着工し、完成までに二年を費やしたと言われています。数十年を経た今も、富岡老街の象徴的なランドマークです。

富岡老街で人気の豆花屋。ロゴに「呂家聲洋館」が使われている。
イベント開催時には1日中列が絶えない「錦美 仙草豆花専売」。
「薑汁熱豆花」65元、トッピングは花豆・ピーナッツ・芋団子。生姜が身体を温めてくれる。
錦美 仙草豆花専売
桃園市楊梅區中正路22號
12:00~21:10 ※日曜のみ18:00閉店 無休

一方、信義街の町屋は呂家宅とは対照的に素朴な佇まい。赤レンガの壁やアーチ、軒下の長い影の中を歩くと、まるで昭和にタイムスリップしたような、ゆったりとした地元の暮らしの気配に触れられます。

古いまま残る赤レンガの壁。
窓枠の鉄格子がかわいい。

異国情緒漂う洋館と、素朴で懐かしい町屋が共存する富岡老街。駅とともに歩んだ街の歴史と、その中に静かに息づく時の流れを、散策しながらじっくり味わってみてはいかがでしょうか。

富岡老街
桃園市楊梅區民生街 信義路 中正路

三連陂|巨大シラサギのオブジェ

富岡老街から徒歩10分富岡駅前からレンタサイクル「YouBike」に乗ればわずか5分のところにあるのが「三連陂」。

農業用の溜め池の中央には高さ8.5m巨大シラサギのオブジェが佇み、それをくぐるのが面白いサイクリングコースとしても親しまれています。

夕暮れ時には広々とした水辺に西日が差す美しい風景と、その景色に溶け込む本物のシラサギたちにも出会うことができます。

三連陂
桃園市楊梅區新明街172號旁

自強号車廂土地公廟|特急列車の中にある廟

巨大シラサギオブジェ「三連陂」まで来たら、その足で是非とも訪れたいのが「自強号車廂土地公廟」

正式名称は「福徳宮」、「台湾で唯一の特急車両の中にある伯公廟」です。

この場所にはもともと伯公の石像が祀られていましたが、台湾鉄道の車両基地建設に伴い石像が別の場所に移転されました。すると台湾鉄道で大小のトラブルが続いたため、台湾鉄道は車両基地内に廃車となった電車の車両を設置して廟に改装したのち、2019年に祈祷式を行って伯公の石像を迎え、交通安全を祈願しました。

車両の中へ入ると祭壇の左右には客席が。
廟の中であることを忘れさせるレトロな雰囲気の客室。

使われている車体は、EMU100型「英國貴婦」と呼ばれる自強號(特急列車)を改造して作られています。

土地不足で移転を余儀なくされた元の土地公を祀るため、鉄道の文化と信仰が融合した旅の安全を祈願する特別なスポットとして地元に愛され、通常の土地公廟の設備に加えて車内の座席がそのまま供え物台や休憩スペースとして活用されています。 

自強号車廂土地公廟
桃園市楊梅區富全街1號
6:00~19:00

富岡街頭藝術|富岡街中アート

富岡派出所の街中アート。

富岡駅前とその周辺にはいくつかのアート作品が設置されており、過去に開催された富岡鐡道フェスティバルでは、ガイドに連れられ街中アートを巡る散策ツアーなども企画されました。

富岡小学校の外壁にある台湾鉄道のアート。
富岡に多く住む客家人の代表料理「湯圓」のアート。

富岡を散策していたら、ふいに思わぬところで街中アートに出会えるかもしれません。図書館、学校、公園など、人の集まる公共施設を探してみて下さい!

台日32同名駅「富岡」まとめ

台湾桃園市内にある富岡は、歴史ある老街の趣自然の調和が美しい、ローカル鉄道旅にぴったりのスポットです。

華やかな洋館建築や、珍しい列車の中にある廟の魅力に触れながら、台湾ならではの文化や温かさを感じられます。

都会の喧騒を離れ、ゆったりとした鉄道の旅で台湾の新しい魅力を発見したいなら、ぜひ富岡を旅の目的地に選んでみてはいかがでしょうか。きっと、心に残る素敵な旅の思い出になるはずです。

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