新竹の魅力を訪ねて Vol.1「米粉(ビーフン)と水潤餅(シュイルンビン)」

台北から南へ約60km、新竹

日本の熊本にも工場がある世界最大の半導体受託製造メーカー「TSMC」など、IT関連のハイテク産業が発展し、「台湾のシリコンバレー」とも称される都市となったのはこの45年程のこと。

台北からは、台湾鉄道「台鐵」に乗れば1時間余り、台湾新幹線「高鐵」ならば約30分で新竹へ行くことができる。

日本人が設計したという台湾鉄道の新竹駅舎は、台湾に現存する最古の駅舎で国の指定文化財となっており、西洋風デザインの建築が美しい。

台湾鉄道(台鐵)新竹駅「新竹火車站」

新竹駅から少し歩けば、環状交差点の中心に建つ「竹塹城迎曦門」や、周囲に屋台グルメが立ち並ぶ廟「新竹都城隍廟」など、新竹を代表する歴史建築が数多くあり台湾街歩きには事欠かない。

これまで何度か訪れたことのある新竹だが、最近新竹を特集した情報誌が発行され入手したので、改めて新竹を訪れたいと思った。

まだ訪れたことのない新竹の魅力を探るショートトリップへ出発!

10:15 新竹駅到着

中壢に住む私は新竹へ、台湾鉄道中壢駅から特急列車「自強號」で南へ一駅、乗車時間は30分弱。

平日朝の乗客は少ないと見込み指定席は買わず、交通系ICカード「悠遊カード」で入場し空いている席に座った。

到着しホームへ降りると青空が広がる。天気予報通りの良い天気だ。

改札を出ると目に入るのは、新竹駅舎

冒頭でも触れたように台湾に現存する最古の駅舎で、国の指定文化財となっている。バロック式とゴシック式が融合した石造りの建築は、見れば必ず写真に収めたくなる美しさだ。

新竹駅を訪れるのは初めてではないけれど、改めて駅舎の中へ入ってみる。

天井が高く、窓枠下の装飾も美しい。

開放感のある広々としたロビーで電車を待つ人々もどことなく絵になる。

天井から差し込む光が影を落とす。

台湾街歩きのお供「トラベラーズノート」に、観光案内所と台湾鉄道それぞれ設置された駅スタンプを押す。台湾鉄道で6駅しか設置していないというクリスタルスタンプも忘れずに。

駅舎の外へ出て、道路を渡ってから振り返ると、道路越しに駅舎を正面から臨むことができる。

またその後ろは駅前広場になっていて、週末などは市民の憩いの場として集まる風景も見られる。

新竹駅舎をじっくり見学した後は、駅前広場のすぐ脇にあるYouBikeステーションでシェアサイクルを借りて出発だ。

林森路からすぐ右へ曲がり、「竹塹城迎曦門(東門城)」へと向かう新義街には、かつての竹塹城を囲んでいた堀の跡が残っている。

堀の両側は木々が溢れ、長閑な雰囲気だった。

10:40 竹塹城迎曦門(東門城)

そして突き当たり見えてくるのが、「竹塹城迎曦門(東門城)」。環状交差点の中心部分にずっしりと建つかつての城楼だ。

竹塹城迎曦門(東門城)

竹塹城迎曦門(東門城)」の地下部分はギャラリーになっているとのことだが、実はまだ行ったことがない。この日も一瞬行こうか迷ったが、目的地へ先を急ぎたくてまた次回の宿題にした。

そのまま環状交差点を回って、今度は東門街へ入る。バイクに気を付けながら先に進むと、見覚えのある景色が見えてきた。「新竹都城隍廟」だ。

10:50 新竹都城隍廟

新竹都城隍廟

YouBikeを降りて押し、城隍廟広場の前を歩く。まだ11時前なので昼食で賑わう人はいない。

こちらも以前来たことがあるが、実はまだここで食事をしたことがない。

まだまだ新竹ですべきことがたくさんあると再確認しつつ、外観だけ拝み先へと進む。

新竹都城隍廟」を過ぎて中山路から右へ曲がり、西大路を北へ北へ1.4km程ひたすら自転車を漕ぐ。やがて和平路に合流したその先で成功路に突き当たる。

左折して成功路に入ると、予想外に狭い路地にも関わらず、バイクも車もびゅんびゅん私を追い越して行く。400m程走ったその先にやっと見えたのが、本日の目的地1つ目、「水潤餅」だ。

11:05 水潤餅(シュイルンビン)

以前、台北在住ライター片倉真理さんのInstagramで拝見してからずっと、いつか食べてみたいと気になっていた「水潤餅(シュイルンビン)」。

今回、例の新竹情報誌で再び紹介されているのを見て、少々駅から遠いこちらへYouBikeで買いに訪れた。

お店の名前は「龍徳雑貨舖」。と言っても、お店の看板は見当たらない。

町の駄菓子屋のような佇まいで、注意していないと通り過ぎてしまいそうなほどこじんまりとしている。

でもこの小さなお店に、ほんの数分間の間、ひっきりなしに客が訪れていた。

バイクで来てばんじゅうを何段も重ねて買って行く業者と見られる人、近所なのか歩いて来たおばあちゃん、同じく歩いて通りすがりに買って行く親子、またバイクで買いに来る男性…。

みんな揃いに揃って買うのは、もちろん「水潤餅」。

水潤餅」は、台湾の夜市や屋台などあちこちで目にする「潤餅」とは全く違う。

「潤餅」は薄いクレープみたいな生地に炒めた野菜やピーナッツの粉などを巻く「台湾式生春巻き」といったようなものだが、「水潤餅」は生地に少し厚みがありふかふかしていて柔らかく、中に具はない。

生地本来の優しい甘みと、ふんわり香るシナモンの風味。至ってシンプルな味わいだ。

水潤餅」を売る店はどうやらこの新竹にある「龍徳雑貨舖」1軒のみ。

ネットで検索すると、焼いた卵を挟んだり、肉や野菜を挟んだり、皆それぞれのアレンジを効かせて楽しんでいるようだ。

私も翌朝「フレンチトースト風水潤餅」を試してみたが、正直そのまま食べるのが一番美味しいという結論に至った。

シンプルだからこそ長く愛される味。次回もまた新竹を訪れた際は、必ず買いに行こう。

龍徳雑貨舖

新竹市北區成功路326號 水曜定休 月~金9:30~18:00,日9:30~14:00

11:15 米粉(ビーフン)

次に向かった先は、この日2つ目の目的地、「米粉(ビーフン)」。

(※以下、「米粉」の表記は全て「こめこ」ではなく「ビーフン」。笑)

地形が影響し、台湾で最も風が強いといわれる新竹

そしてその強い風を活かし干して作る「米粉」が盛んになったという。

米粉」を売る店は新竹中たくさんあるが、今回訪れたのは「東徳成米粉工場」。例の新竹情報誌の表紙のデザインになったピンクのショッピングバッグの店だ。米粉工場米粉を直売している。

観光工場のように見学できるスペースがあるか尋ねてみると、工場の奥さんと見られる女性が、観光工場ではないがここで全て作っているので入って見て行けばいいと、ひとつひとつ丁寧に案内してくれた。

まずは原料となる米。

在來米」と呼ばれる細長い形をしたインディカ米で、粘り気が少なくさっぱりとしていて加工に適しているんだそう。目の前に立つと、米の良い香りがふわっと漂って来た。

この米を一晩水に浸して寝かせたあと、蒸し炊いてからすり潰して固めたものがこちら。

これを専用の機械でプレスにかけて細長い麺状にしていくのだそう。

工場内で赤いカゴに広げて干していたこちらの米粉は、飲食店に卸すためのもので、更に蒸して調理済みとのこと。そのままでも食べられると、手に取って一口食べさせてくれた。

「味はしないよ」と言われた通り、味付けはもちろん一切ないが、米本来の味がほんのり感じられた。

風が強くて米粉が栄えた新竹だが、今では粉塵を避けて外で干す工場はほとんどないと教えてくれた。この工場も全て屋内で干しているとのこと。

右奥の縦型の装置が飲食店用米粉の蒸し機。

思いがけず工場見学をしっかりとさせて頂いた後は、予定通り米粉を買い、雑誌の表紙と全く同じデザインのショッピングバッグもゲットし大満足だ。

1台湾斤(約600g)200元。

ちなみに、台湾で売られる米粉は二種類あり、原材料が米100%である米粉のほか、「玉米澱粉」=コーンスターチを混ぜて煮崩れしにくくしたものも「米粉」と表記して多く売られている。

このコーンスターチを混ぜたものは、煮崩れしにくいことから「炊粉(ツュイフェン)」とも呼ばれる。

こちらの工場で製造・販売されているのは「米粉」、もちろん米100%だ。

東徳成米粉廠

新竹市北區延平路一段317巷3弄47號 日曜定休 月~金8:00~19:00,土8:00~18:00

12:15 昼食「刀削麺」

米粉の社会科見学を終えた後は、再びYouBikeに乗り新竹駅周辺の賑やかなエリアに戻って来た。

向かった先は、事前にチェックしていた店「刀削麺」。

刀削麺とは、小麦粉の生地のかたまりを包丁で削って鍋に飛ばし入れ茹で上げる麺のことで、こちらは店の名前も「刀削麺」。

ぶった切ったような麺のかたまりがもちもちしていて私の大好きな料理の1つだが、何やらこの店は台湾風おでん「滷味(ルーウェイ)」も人気らしい。

店先に説明書きがある通りに、まずは並んで順番を待ち、順番が来たら手をアルコール消毒して、自分で食べたい具材の滷味を皿に盛る。

店の人に渡したら、「內用(ネイヨン)=店内利用」であることを伝えて刀削麺の注文をしてから空いている席に座る。

滷味に値段は書かれていない。席に座って少し待つと、切り分けた滷味が運ばれて来て、その際値段を教えてくれる。

私が選んだ滷味はゲソのない小ぶりなイカ、70元だった。甘辛な醤油だれが絡んで美味しかった。

イカの滷味70元。値段は大きさや重さで決まるようだ。

イカの滷味を摘まんでいると、刀削麺も運ばれて来た。注文したのは「排骨麺(パイグーミェン)」(小)90元。

期待通りもっちもちの麺は存在感があり美味しく、豚の骨付きスペアリブ「排骨」は柔らかく煮こんであり軟骨も美味しい。醤油ベースのスープはさらっとしていてしつこくない。

排骨麺(小)90元。

好みの麺に満足して、あっという間に食べてしまった。次回は炸醬麺を食べたいと思う。

刀削麺

新竹市東區中華路二段572號 日曜定休 11:00~14:00,17:00~20:00

12:50 或者新州屋 OR House

食後は武昌街を通って、新竹中央市場を背に東前街を東門市場の方へ進み、待ち合わせしていた友人と会いに「或者新州屋(OR House)」へ向かう。

途中、曲がり角で出くわした柱だけ残る特徴的な建物。

或者新州屋(OR House)」の前で友人と合流して店内へ。

こちらは、新竹を拠点とする台湾発の生活文化ブランド+地域づくりを目指すライフスタイル企業「或者 OR」のショップなどが入っている。

例の新竹情報誌d design travel HSINCHU(台湾 新竹)」は、この「或者 OR」が日本の「D&DEPARTMENT」に話を持ち掛けて発行に至ったそうで、開催中の期間展示を見に訪れた。

d design travel の期間展示は2026年3月29日迄。

1階は特産物などを販売し、2階はカフェスペース、3階にはキッチンスタジオがあり、4階はギャラリーとなっていた。

落ち着いた雰囲気の2階カフェスペース。
古い建物をリノベーションしており、床にはタイルが残されていた。

すぐ近くにももう1棟拠点があり、そちらにもカフェが併設されている。またいつか訪れたい。

或者新州屋(OR House)
新竹市東區東前街16號 月火定休 11:00~20:30

14:00 カフェ「暗室微光」

或者新州屋(OR House)」を見終えた後は、友人おすすめのカフェ「暗室微光」へ。

とてもおしゃれな雰囲気の店内、珈琲豆の種類やケーキも充実しており、常にほぼ満席で人気であることが伺えた。

私と友人は揃って、シーソルトラテとイチジクのタルトを注文。

お互いのトラベラーズノートを見せ合ったりおしゃべりに花を咲かせ、居心地の良いひと時を過ごした。

シーソルトラテ160元とイチジクのタルト210元。

暗室微光

新竹市東區勝利路97號 日曜定休 12:00~18:00

あっという間の新竹街歩き

新竹にはまだまだ面白そうな場所がたくさんあるので、しばらく度々訪れたい。

新竹ショートトリップ、また次回をお楽しみに!

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